Moving Average(移動平均線)


インディケーター概要

移動平均線は一定期間の価格の終値の平均を曲線化しチャート上に表示するインジケーターです。

シンプルなインジケーターであるために歴史も古く、単純に過去の一定期間の平均を算出した単純移動平均線(SMA)と呼ばれるものに加え、直近の価格の比重を重くした指数平滑移動線(EMA)や徐々に近い数値の比重を上げていく加重移動平均線(WMA)など単純移動平均線から進化した移動平均線も存在します。

3本の移動平均の違いは下のチャートのようになります。

3種類の移動平均線の差(緑:SMA、青:EMA、紫:WMA)

大きな方向性はそれほど変わらないものの、単純移動平均線はゆっくりと動くのに対し、指数平滑移動平均線は直近の値動きに過敏に反応するため、比較的早い反応になっており、値動きの初動を捉えるのに適していますが、反応が速いためダマシに逢いやすいというデメリットもあります。加重移動平均線はゆっくりと動きますが、トレンドが発生した場面では価格に近い状態が続きます。強いトレンドの場合はこの加重移動平均線がサポート、レジスタンスになることも多いです。

価格の意味するもの

移動平均線がなぜ重要かを考えるには価格が意味するものを理解することが必要です。

価格が存在するということはその価格で売買が成立したことを示しています。

つまり、過去の価格の推移というのは、過去にその価格で売買が行われた履歴と言いかえることができます。

売買が行われたということは、過去の価格というのはその時の相場参加者の保有ポジションの価格ということが出来るわけです。

その過去の価格の終値を平均化した移動平均線はその期間の相場参加者の平均持値(平均コスト)に近い水準となっているということです。

もちろん、実需の参加者や決済の売買も含まれるため、完全一致とは言えませんが、大まかな水準を予想するには役立つと思います。

移動平均線と価格の関係

移動平均線が相場参加者の平均コストということを前提に、移動平均線と価格の関係について考えてみます。

移動平均線の上に価格がいる場合はどのような状況でしょうか?

買いポジションを持っている人は平均的に利益が上がっている状況です。

売りポジションを持っている人は平均的に含み損が出ている状況です。

このような状況のときに次に何が起こるでしょうか?

買いポジションの保有者は利益が上がっているので、ポジションを増やすかもしれません。(さらに買いが強まる)

売りポジションの保有者は含み損が出ている状況なので苦しい状況です。損切りのタイミングを探している状況です。(決済の買いが出やすい状況)

ポジションを持っていない人はどうでしょうか?

価格が上昇基調になってきているので、買うタイミングを探します。(新規の買いが入りやすい状況)

これらの状況をまとめると、買いが入りやすい状況となります。つまり、上昇基調が強まる可能性が高い状態といえます。

逆に価格が移動平均線の下にある場合はどうでしょうか?

買いポジション保有者は含み損を抱えているので、損切りのタイミングを探っています。

売りポジションの保有者は含み益を抱えているので、ポジションを積み増すことができます。

ポジションを持っていない人は新規の売りのタイミングを探します。

よって下落基調が強まりやすい状況と考えらえます。

移動平均線と価格が乖離したら

それでは移動平均線と価格が大きく乖離した場合はどうでしょうか?

価格が移動平均線を大きく上に乖離してしまった場合について考えてみましょう。

買いポジションの保有者は利益が大きくなり、利益確定のタイミングを探ります。(決済の売りが入りやすい状況)

売りポジションの保有者は既に損切りをしてしまっている状況(損切りの買いは入りにくい状況)

ポジションを持っていない参加者は平均価格よりも高いので価格が落ちてくるまでは買いたくない状況(新規の買いは入りにくい状況)

平均価格よりもかなり高くなってきたので、価格の下落を予想し、ポジションを持っていない参加者は新規の売りポジションを作ろうとする参加者も出てくると思います。

つまり、買いたい参加者が少なく、売りたい参加者が増える状況となるため、価格が移動平均線付近まで戻ってくる可能性が高まります。

価格が移動平均線を大きく下回った場合は逆のことが起こります。

移動平均線付近に戻ってきた場合はどうでしょうか?

買いたいと思っていた参加者は平均価格まで戻ってきたので買いたいという参加者(新規の買い)も出てくると思いますし、決済をして利益を上げた買いポジションの参加者が、再度買う可能性も出てきます。売りポジションを持っていた参加者で踏ん張っていた参加者は損失の少ない状況、上手くいけば±ゼロの水準で逃げることができるようになります。(決済の買いが入る可能性)

そのため、移動平均線付近では下落が一段落する可能性が高くなります。同様に価格が移動平均線の下にいる場合は移動平均線付近で上昇が一段落する可能性が高くなります。つまり、移動平均線がサポート、レジスタンスとなる可能性があるということです。

移動平均線と価格の乖離、移動平均線がレジスタンスになった例
(移動平均期間:90)

このように、一本の移動平均線と価格の関係を考えるだけでも相場の状況をこれだけ把握することができ、相場の分析を行うことが可能になります。

続いて、複数の移動平均線を使い、期間の異なる移動平均線との関係について見ていきたいと思います。

短期の移動平均線と長期の移動平均線の関係

期間の短い移動平均線と期間の長めな移動平均線を表示させ、その関係を見ながら相場を分析することができます。

短期の移動平均線が示すのは短期的な相場の動向、中長期の移動平均線が示すのは中長期的な相場の動向になります。

中長期の移動平均線を短期の移動平均線が上抜けるような場合について考えてみましょう。

このような場合は中長期的な相場の流れに対し、短期的に上昇が勢い付いている状態と考えられ、上昇がさらに強まる可能性が高い状況と考えられます。このように短期の移動平均線が長期の移動平均線を上抜けるような状況になることをゴールデンクロスと呼び、買いサインの一つとされています。

逆に短期の移動平均線が中長期の移動平均線を下抜ける場合をデッドクロスと呼び売りサインの一つとされています。

ゴールデンクロス、デッドクロスの例(移動平均の期間は14と21で設定)

MT4における移動平均線の設定

MT4の移動平均線は細かい設定ができるようになっています。

設定項目は次の通りです。

期間:移動平均線の値を算出するための期間を入力します。

表示移動:MT4では移動平均線を左右にずらして表示することが可能です。プラスの数値を入力するとその本数分右にずらして表示します。マイナスの数値を入力すると左にずらして表示します。

移動平均の種別:MT4では4種類の移動平均線を表示することが可能です。Simple(単純移動平均線、SMA)、Exponential(EMA、指数平滑移動平均線)、Smoothed(平滑移動平均線、SMMA)、Linear Weighted(加重移動平均線、WMA)から選択することが可能です。

適用価格:移動平均線の算出に用いる価格を選択します。基本的には終値(Close)を用いますが、安値、高値、始値や高値と安値の中間値などマニアックな設定も可能になっています。

スタイル:移動平均線の色、線の種類、太さを選択できます。

まとめ

移動平均線は一定期間の終値の平均を曲線化してチャートに表示します。

移動平均線と価格の位置で相場の状況を分析することができるほか、短期の移動平均と中長期の移動平均線の位置を用いて分析することができます。