ユーロ圏経済指標の注目ポイントは? FX初心者向けファンダメンタルズ分析第4回

ユーロ圏経済

ユーロ圏経済指標の注目ポイントは? FX初心者向けファンダメンタルズ分析第4回

ガルベス

おい、眉毛!

ジジイからメールが来てるぞ!

ユーロ圏経済

なんだ、最近見ないと思ったら、あのオヤジは旅行中か?

きぷろす??

ってどこだ?

眉毛先生
キプロスは地中海に浮かぶ島だよ。トルコなんかに近い国だね。

一応、EUに加盟していて国で通貨はユーロを使ってるんだ。

ガルベス

そうなのか。

俺も行って見たい!

なんか綺麗な街だな!

そういえば、アメリカの経済指標について、こないだ習ったけど、ユーロの場合はどの経済指標を見ればいいんだ?

そもそも、ユーロって国じゃないよな??

ユーロ圏の経済指標

眉毛先生
そうそう。ユーロっていうのは国じゃない。経済圏という表現が正しいんだと思う。

単一通貨ユーロを使う経済圏。

2017年11月時点では、19ヶ国でユーロが使われてるんだ。

具体的には、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ポルトガル、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、マルタ、サンマリノ、ギリシャ、フィンランド、アイルランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、スロベニア、スロバキアかな。

ガルベス

そんなにあんのか!?

てことは、これらの国の全部の経済指標見なきゃダメってことか??

眉毛先生
いやいや、そんなことはないんだよ。

ユーロ圏のものをまとめてEuroStatっていう欧州委員会の部署が統計を出してくれるんだ。

だから、基本的には主要経済指標はそこで発表されるデータをチェックすればいいんだ。

ガルベス

それはありがたいな。

たくさんチェックするのは面倒くせーからな。

眉毛先生
ユーロ圏は現在19ヶ国あるんだけど、GDPの割合を見ると、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの4国で4分の3近くを占めてるんだ。

その中でもドイツの占める割合が圧倒的に大きいのでドイツの景気動向が大きく影響するから、国別ではドイツのものに市場の注目が集まるんだ。

だから、ドイツのものは個別にチェックしておいた方がいいんだ。

GDPよりも消費者物価指数

ガルベス

で、具体的には何を見ればいいんだ?

GDPか??

眉毛先生
GDPも経済全体の強弱を見る上で重要な経済指標なんだけど、ユーロの相場にはあまりインパクトを与えないことが多いんだ。

ドルの値動きを探る上で米国のFRBの金融政策が注目されるのと同様にユーロの値動きの動向を探るには、ユーロ圏の金融政策が注目されるんだ。

ユーロ圏の金融政策を決めているのはヨーロッパ中央銀行(ECB)という機関なんだけど、金融政策の目標が物価の安定とされているんだ。

この点は米国のFRBが物価の安定と雇用の最大化の2つを目標に掲げているのと違うところなんだ。

だから、ユーロ圏の金融政策を考える上で一番注目される経済指標はユーロ圏の消費者物価指数なんだ。

ユーロ圏で一番経済力があるドイツが過去に2回の大戦後にインフレで苦しんだ経験があるから、インフレに対する警戒感が他の中央銀行に比べて強いっていうのもある。

だから、ユーロも消費者物価指数の結果に市場が大きく反応することがあるんだ。

ガルベス
なるほどね。
眉毛先生
ECBの金融政策に注目が集まっているときは、ユーロ圏全体のものに注目が集まるんだけど、先行して発表されるドイツのものに反応する場合もある。

細かく言うと、ドイツの消費者物価指数は州ごとに発表された後にドイツ全体のものが発表されるんだけど、中でもユーロ圏のものと相関関係が高いとされるザクセン州のものが注目されたりするんだよ。

ガルベス
細かいな・・・。
眉毛先生
まあドイツの各州のものになると少しマニアックな領域になるけど、とにかくユーロ圏全体の発表は注意した方がいいと思う。
ガルベス
おう!

ECBの金融政策

眉毛先生
さっき、ちらっと出てきたけど、ユーロに関しては当然、ECBの金融政策の発表が一番注目されるイベントなんだよ。

ECBの金融政策の中心になる政策金利3つの金利があるんだ。

主要リファイナンス金利(Main Refinance rate)、限界貸出金利(Marginal lenging rate)、中銀預金金利(Deposit facility rate)の3つ。

主要リファイナンス金利は国債などの一定の担保を元にした中央銀行から金融機関に対する1週間の貸付を行う際の金利になる。

限界貸出金利はECBが金融機関いオーバーナイトの貸付を行う際の上限の金利、中銀預金金利はオーバーナイトで預ける際に適用される金利のことなんだ。

マイナス金利と騒いでいるのは、この中央銀行に預け入れる際に適用される中銀預金金利をマイナスにしたということなんだよ。

中央銀行に預けるんじゃなくで世の中の人たちに貸付て、世の中にお金がもっと出回るようにしろという政策だよ。

「そうすれば、景気良くなるだろう」→「景気が良くなったら物価が上がる」との考えで。

あとは、金利が下がってユーロが売られれば、ユーロ圏の輸入品の値段が上がるから、物価全体の値段が上がるって考えもあるだろうね。

日本の中央銀行の日銀も似たようなことをやってる。

ガルベス
なるほど。

この政策金利が変わるとユーロが買われたり、売られたりするんだな。

眉毛先生
まあ、そういうことだな。

厳密に言えば、消費者物価指数を中心とした経済指標や中央銀行関係者のコメントなんかを材料に金利変更の可能性が強まると動き出す。

まあ、市場が想定しているタイミングと違うタイミングでサプライズ変更となることもあるから金融政策を決めるECB理事会後の発表ECB総裁の記者会見中は常に警戒しておいた方が無難だよ。

ちなみに金融政策を決定するECB理事会は6週間に1度の頻度で年8回開催されてるんだ。

会合に参加するのは総裁、副総裁、専務理事と各国の中央銀行の総裁で議決権に関してはFRBのように中央銀行の総裁分は輪番制になっているんだよ。

ガルベス
なるほど、年に8回だな。
眉毛先生
政策金利以外にも金融政策はあるんだよ。

リーマンショック、欧州債務問題などの影響でユーロ圏の景気後退が鮮明になったときに、ECBは政策金利だけでは景気を下支えできないと考えて、市中の国債などの債権を買って世の中にお金が出回るような金融政策を行ったんだ。

それを最近では景気が回復してきたので、徐々に減らしていこうという方向に進んでいるんだ。

購入終了期間を延長するかわりに、国債などを買う量を減らして終了によるショックを和らげようとしている感じだね。

金融緩和が縮小していけば、世の中に出回るユーロが減るから当然、ユーロにとっては買材料となるんだ。

ドイツの3種類の景況感指数

眉毛先生
物価に影響を与える重要なものの一つが景気なんだ。

簡単に言えば、景気が良くなれば、みんな物を買おうとするから、物の値段が上がるってことだ。

ドイツの景気を探る上で重要な景況感を示す指標で市場が注目する経済指標に3つのものがあるんだ。

それぞれ特徴が違うから、一応説明しておくぞ。

①Ifo景況指数

ドイツのIfo経済研究所により実施される、ドイツの企業を調査対象にしたアンケート調査。

調査対象が多く、企業に対するアンケートなので実際のドイツの景況感を示す上で信頼性が高いとされているのが特徴。日本で言えば、日銀の短観のようなもの。

②ZEW景況指数

ドイツの欧州経済研究センターにより実施される、ドイツのエコノミストや機関投資家を対象にしたアンケート調査。

ZEW景況指数はエコノミストや金融関係者に対するアンケートであることや、調査対象が少ないため信頼性は欠ける面があるけど、Ifoよりも早く発表されるので、先行性があるって特徴がある。

③マークイットPMI

マークイット社により企業の購買担当者に対して行うアンケート調査。製造業、サービス業、総合と業種ごとに発表されている。

マークイットのPMIは速報値が早いので最新の動向を把握できるほか、フランスやイタリアなどのその他の国との比較も容易にできることが特徴なんだよ。

どれが一番重要とは一概に言えないけど、ドイツの景気が改善する場面ではどの結果も良くなってくるし、景気後退の場面ではどの結果も悪くなってくるから、全体的な基調を把握することが大事かな。

ガルベス
なるほど。細かい違いはあるけど、これら全体が上向いていれば、ドイツの景気が良いってことだな。
眉毛先生
そういうことだ。

労働市場

眉毛先生
ユーロ圏の失業率などの労働市場のデータも重要だぞ。

ECBの金融政策の目標にはなっていないこともあって、発表後に大きく動くということは少ないけど、経済の状態を把握するのには欠かせないデータになるんだ。

景気の動向が物価に影響を与えるという前提で考えると、間接的に物価に影響を与えると考えることもできるしね。

興味深いのは、ユーロ圏全体とユーロ圏の主要4ヶ国の失業率を見ると下のグラフになるんだけど、各国のバラツキが激しいんだよ・・・。

ユーロ圏失業率

エースのドイツの失業率は低くて、最近でも低下が続いているんだけど、住宅バブルの崩壊があったスペインやイタリアの失業率は最近は落ち着きはじめているけど、10%を超える失業率のままでユーロ圏全体でも9%くらいの数字になってる。

ナンバー2のフランスの失業率も高いままなんだ。

実は、ユーロ圏の中でも、この格差が問題になったりするんだ。

ドイツとしてはお前ら、「足を引っ張りやがって・・・。」と考えるだろうし、他の国からすれば、ドイツばっかり美味しい思いしやがってということになる。

ドイツは他の国の景気が足を引っ張ってくれてるおかげでユーロが安いので、輸出が好調だからね。

他の国としてみれば、「ドイツが好調だから、ユーロが下がらなくなるから、輸出や観光産業が伸びない・・・。もっと景気を下支えするためにも緩和してくれなきゃ。」なんて考える。

結局、各国の経済事情は異なるのに金融政策はユーロ圏で同じ金融政策をしなきゃいけないってのが、ユーロ圏の問題なんだよね。

各国の事情が違うから、ECBも全体の物価をターゲットに金融政策を行うしかなくて、経済政策は「各国で頑張ってなんとかしてください」って感じかね。

この格差が広がっていくような状態になると、「ユーロなんてやめちまえ。」と考えてしまってもおかしくない状況になる。

ガルベス
アイドルグループの中身みたいなものだな。
眉毛先生
ん〜。それは良くわからない・・・。

とにかく、全体の景気が良くなってきてるので格差は縮小しつつあるから、今後はそれほど意識しないでもいいかもしれないけど、政治的にユーロを抜けたいと考えるような政党が人気が出てくるようなことになると、ユーロの上値を圧迫する材料になる。

最近でもフランスで脱ユーロを掲げた政党の人気が高まったことでユーロが売られたことがあるしね。

だから、GDPを見るときも、失業率をみるときも全体としての傾向に加えて、各国の格差に注目してみると面白いと思うよ。

ガルベス
なるほど。

その他

眉毛先生
それ以外だと、ユーロ圏の小売売上、ドイツの小売売上、ユーロ圏の自動車販売台数なんかが、消費動向を見る上では重要な経済指標の一つなんだけど、市場の反応は限定的なことが多いんだ。

鉱工業生産なんかもそうだね。ユーロ相場へのインパクトは極めて小さいといっていい。

だから大きな基調をざっくりと確認しておく程度で良いと思う。

指標発表後に大きくユーロが動くということはあまりないと思う。

まとめ

眉毛先生
まとめると、ユーロの動向を探る上ではECBの金融政策が重要になる。

相場を大きく動かすユーロ圏のイベントとしてはECBの金融政策の発表、その後のECB総裁の記者会見がある。

そして、その判断に大きな影響を与えるユーロ圏の消費者物価指数のインパクトが大きい。

その他の指標は米国の経済指標に比べると、発表直後に大きなインパクトを与えることは少ないけれど、全体的に改善傾向となれば、ユーロの下支え材料となり、悪化していくような局面ではユーロの上値圧迫材料になるといった感じだね。

だから、テクニカル分析中心の人はあまり意識しないという人も多いと思うよ。

ガルベス
そっか、じゃあ、基本的にはECBの金融政策に影響するところを中心に見ていけばとりあえずいいんだな。
眉毛先生
そう。

あまり深追いし過ぎると結局わからなくなっちまうこともあるから、注意しろよ。

じゃ、そろそろ散歩行くか?

ガルベス
おう!

準備はできてるぜ!